フリーターを卒業して正社員になりたいと考えてはいるものの、なかなか一歩を踏み出せない方もいるのではないでしょうか。
その原因は、フリーターから雇用形態を変えて正社員を目指すことに難しさを感じていることかもしれません。
今回は、フリーターが就職するのはどうして難しいといわれるのか。その理由と対策方法を解説していきます。
フリーターから就職するのは難しいといわれる理由

フリーターから正社員になるのが難しいといわれる理由は、一般的に4つに分類できます。
『経験不足』『学歴に自信がない』『雇用形態を変更するという変化のハードルの高さを感じる』『就活のやり方がわからない』です。
この4つのキーワードのうち、いずれか1つ以上該当するというフリーターの方もいるでしょう。
これらのキーワードは、フリーターから正社員になりたいときに、乗り越えるべき壁として立ちはだかることはあります。
しかし頭に留めておきたいのは、これらは別にフリーターにしか当てはまらないキーワードではないということです。
世の中には『正社員として働いてきたけど学歴に自信がない』という方もいれば、『正社員ではあるけど、正直何のスキルアップもしなくて不安定な仕事をしているよ』という方もいるのです。
正社員でも契約社員でも派遣社員でも、これらのキーワードに該当する悩みやコンプレックスを感じている方はいるでしょう。
それなのにフリーターについて、これらのキーワードによって難しいというイメージが挙がってきてしまう背景には……
やはり悩んでいるフリーターが多いからではないでしょうか。
フリーターから就職するのが難しいといわれる理由について、1つずつ丁寧に見ていきましょう。
理由①正社員としての業務経験がないことで不利になることがある

これは実際に就職活動をしたとき、感じることがあるかもしれません。
職場によっては『正社員』と『フリーター(アルバイト採用)』では、対応する業務や権限に大きな差があることも。
フリーター歴が長くて、正社員のような権限のある仕事の経験がないと『これまで経験してきた業務内容が、正社員のような内容ではないから不利になる』というケースも、もちろんあります。
ですが、これは世の中の全ての企業、採用担当がそう捉えるわけではありません。
確かにフリーター歴しかないことで不利になることもありますが、正社員だって転職しようとしても上手くいかないことがあるわけで、前向きに取り組んでいくことでカバーはできます。
理由②フリーター歴が長いと説明が難しいことも

フリーター歴が長い・履歴書の空欄が多いと、それが就職活動で不利な要素になってしまうことは、多々あります。
また、興味を持ってくれる企業があったとしても、面接の際に『どうしてずっとフリーターをしてきたの?』と質問されることがストレスで就職活動をしづらいと感じる方もいるのではないでしょうか。
『ずっとフリーターをしてきたから、正社員採用では通りづらい』と考えて、そもそもの行動を起こせないでいる方もいるでしょう。
ここは変化を起こすために、グッと乗り越える必要があります。
正社員になりたいなら、このままフリーター歴を更新していくよりは、どこかでストップする必要があります。
そうしなければ明日、明後日、半年後、1年後は今よりもフリーター歴が延びていて、さらに期間面でハードルを感じるリスクがあります。
フリーター歴が長い理由の説明は難しいかもしれません。
しかし、フリーター歴が長くても気にしない採用担当者もいます。また、フリーター歴が長くなった理由を丁寧に伝えることで前向きに受け取ってくれる可能性もあります。
正社員になりたいなら、どこかで行動を起こす必要があります。
理由③自分の学歴に自信がなくて消極的な方もいる
これは、企業や採用担当者がどうこうではなく、『自分の気持ちの持ちよう』が就職活動を難しくしてしまっているケースです。
世の中や他人原因ではなく、自分に原因があって就職活動が難しくなるケースもあるのです。
学歴に自信がないことから、就職活動に消極的になってしまいフリーター歴が延びているという方もいるでしょう。
このような方の場合は、プライドが高くて傷付きやすく、それが正社員になる前のハードルになってしまっていることがあります。
確かに高学歴であれば応募できる企業の幅も広がりますし、選択肢も増えるでしょう。
ですが、高学歴でなければ正社員になれない世の中ではありません。
極端な話、中卒から管理職になった人だって、中卒から社長になった人だっています。
学歴に自信がない人を雇ってくれて、しかも待遇や環境が良い仕事も探せばあるのです。
理由④フリーターから正社員として働く一歩を踏み出せない

フリーターとしての生活に居心地の良さを感じていることで、正社員になるための第一歩を踏み出せないという方もいるでしょう。
ある程度の規模の街なら仕事はたくさんあるので、極端な話フリーターだけど目先の生活に困っていないというケースもあるでしょう。
実家暮らしの方だと、フリーターだけど生活は楽というケースも考えられます。
正社員のような権限や福利厚生もない代わりに、正社員ほどのことを求められないし、残業もない。
その生活が心地よくて、正社員になって大変な環境に身を置くのが辛い……これは、職場や環境に恵まれているフリーターであればあるほど該当する可能性が高まります。
実際のところ、収入や安定よりも人生の充実ややりたいことをやることを優先して、あえてフリーターとしてあまり働かないで、時間を趣味に使う方もいます。
そこまで振り切れるのであれば、それも1つの選択肢です。
自分が納得しているのであれば、誰も間違っているとはいえないでしょう。
ただし、どこかで『今の生活は楽だけど、変わらないといけないのではないかな』とか、『変われるなら変わりたいな』とか。
そういうことを考えてしまうなら、就職活動に踏み出したほうが、長い目で見て満足に繋がる可能性が高いでしょう。
理由⑤転職活動や自己分析のやり方がわからない

新卒のタイミングで就活をしたことがなかったり、横並びで就活をする経験をしていなかったりすると、『労働の経験はあるけど、社会人としての面談マナーがわからない』という状況が発生することがあります。
フリーターから正社員になりたい方の採用を積極的に実施している企業であれば、このあたりあまり気にしないこともあります。
ただ、一般的には就活の際には社会人としての最低限の準備が求められます。
履歴書、職務経歴書(アルバイトの職歴も記載してOK)、面接での自己PRや志望動機の伝達……
特に自己PRをしていくためには、自己分析も必要になってきます。
まったく経験がなくて、フリーターが長い中でこれらを頑張れといわれても、物凄くハードルが高く感じることがあるでしょう。
ですが、今は便利な世の中で、ネットを使えばいくらでもやり方の解説やテンプレがわかります。
本気で就職活動を考えるようになったとき、わからないから『難しい』と感じることはあるかもしれません。
それでもその難しさは、ちょっとの手間で消える可能性があります。
フリーターの就職が難しいのは日本の新卒採用主義の文化
『フリーターの就職は難しい要素がある』といっても、世の中には『フリーター歓迎』という企業もありますし、『フリーター経験しかなくてもいいからすぐに働いて欲しいという企業』もあります。
それでも難しいイメージが定着する理由の1つに、新卒採用文化があります。
例えば新卒として就業したい学生たちが、同じタイミングで皆一斉に就活を開始する文化は、アメリカにはありません。
アメリカの場合は、就職するために学生が積極的にインターンや社会貢献に取り組み、採用されるタイミングもバラバラです。
新卒主義ではなく、経験を積んできた中途採用が評価されて地位も高いです。
しかし日本の場合だと、新卒で採用して、そこから育てていくという企業文化があります。
昔は年功序列で一度入社したらずっと働くのが普通でしたが、近年では転職が普通になっています。
そのため、この新卒主義的な文化も変わりつつあって、新卒ではない立場の方にも柔軟に求人が生まれる土台が整ってきてはいます。
ですが、現代の40代50代の世代としては、『新卒で就職しないでずっとフリーターをしてきたなら、就職は難しいでしょう?』というイメージがあって自然です。
つまり現代の20代~30代の親世代だと、フリーターから正社員になるという行為に非常に難易度が高いイメージを持っていることがあるのです。
親世代では、確かに今よりフリーターの方への風当たりが強かったからです。
親世代はフリーターをしている子世代に、以前の価値観で強く『難しい』と伝えていることがあり、それが原因でフリーターの方も『難しい』と思い込みすぎていることがあります。
今は働き方も多様性があり、新卒ではないところから正社員になる方もいます。
行動すれば選択肢はありますし、フリーターから正社員になるという目的自体の達成はそう難しくありません。
ただし、注意しておきたいのは、『フリーターから正社員になれる求人は、今の世の中たくさんある。しかし大手企業だとほとんど可能性がない』ということです。
フリーター歴しかない方が大手企業に就職するには、難易度の高い資格があるなどの特別な要素が必要です。
つまり、今の時代は昔よりはフリーターでも就職はしやすいのだけど『仕事を選んでしまうと、これが一気に昔的な難しさがアップしてしまう』ということです。
フリーターが就職を目指すときの注意点と解決策

フリーター歴しかない方が就職して正社員になりたいとき、上記でも触れている通り、仕事を選べばハードルが上昇します。
逆に選ばなければ、正社員になれる可能性は高まります。
『とにかく就職して正社員になりたい』というときの解決策はシンプル。最低条件だけ決めて、応募先を限定しすぎないようにして、たくさん応募すること、そして行動することです。
応募する、面接に呼んでもらえたら準備をして行く……
これは文章にすればとても簡単ですが、実際にやるとなると事前準備にも労力がかかります。
すなわち……これをこなしていくためには、行動が必要です。
行動すること。それが、フリーターから正社員になりたいという方が、実際に正社員になるために取れる解決策の根底にあります。
華やかな業界が本当にキラキラしているとは限らない

フリーターから正社員を目指す際、『どうせ正社員になるからには楽しくて続けやすい仕事がいい』と考える方もいるのではないでしょうか。
そのような仕事に就ければ、辞めたくならないか不安があるという方も安心です。
ただし、これがフリーターの正社員就職の足を引っ張ることがあります。
キラキラした印象の仕事にこだわりすぎて、正社員になるためのハードルが上がっているということ。
それで面接を突破して入社できたとしても、注意点があります。
皆が憧れるような華やかな業界が、本当にキラキラしているとは限らないということです。
例えばフリーターの方も憧れることが多い業界といえば、出版業界や音楽業界ではないでしょうか。この業界で働く方々ってキラキラしていて優秀な感じがしますよね!?
しかし出版業界だから音楽業界だから、正社員として働く場がキラキラしているとは限りませんし、そこで働くことで自分がキラキラできるとも限りません。
仮に他人から地味だと感じられる職場で働いているとしても、人間的にキラキラしている方はいるでしょう。
『華やかさ』『キラキライメージ』について、イコール楽しそうだからという感覚に結び付けて就職活動してしまうと、入社できたとしてもその後のギャップで苦しむリスクもあるのです。
それならどうすればいいかというと……
フリーターの方は『自分にできそうな仕事』を基準に探してみるといいでしょう。
例えばプログラミングなどはできないけど、パソコン操作になれていてExcelなんかは基本的に使えるよということであればコツコツ系の事務職だと仕事を覚えやすいでしょう。
趣味でプログラミングをしている方なら、IT業界に入るのもいいでしょう。
適職というかやりたいこともできることも分からないという方は、ネットで無料の適職診断を探して試してみるのはいかがでしょうか。
とにかく!!大事なのは先入観をもってかからないことです!!
憧れの業界なら楽しくやりがいを持って働けるとは限らない
例えば、漫画が好きだから出版社の漫画の編集部、音楽が好きだから音楽会社の営業職、服が好きだからアパレル販売員……
という風に、『好き』を仕事にするという考え方があります。
実際にそれでスムーズに正社員として働ける方もいるはずです。しかし、好きだからといって楽しかったりやりがいを持ったりして働けるとは限らないと認識しておきましょう。
世の中には『好きは仕事にしないほうがいい』という意見もあります。
好きな業界の裏側を知ることで嫌気が差して、好きなことが好きではなくなるかもしれないのです。
フリーターから就職活動するからには、好きを仕事にしたいと考えることがあるかもしれません。
ですが、本当に好きを基準に絞り込んで求人情報を探すかどうかは、よくよく考えるようにしましょう。
面接で上手くいかなくても気にしないで前向きに!

面接で上手くいかなかったとき、『フリーターから正社員になることが難しいのだな』と、受け止めてしまうかもしれません。
ですが、現実的には正社員として働いてきた方が正社員として転職しようとしても面接に落ちることはあります。
つまり、フリーターだから面接で上手くいかなかった(正社員だったら上手くいっていた)という考え方はしないほうがいいのです。
『正社員として働いてきた人だって面接で上手くいかないことがあるわけだし、気にしなくていいや』と、前向きに捉えるようにするといいでしょう。
正社員として働いてきた方でも転職のために10社以上受けるという例があります。
フリーターから正社員になろうとするときも、とにかく根気は大切です。上手くいかなくてもあんまり気にせず、たくさん受けること前提の気持ちで取り組んでいくといいでしょう。
フリーターから正社員は難しい?テーマのまとめ
今回は、フリーターから正社員になるのが難しいといわれる理由や、解決策についてご紹介しました。
フリーターから正社員になろうとしたときに、不利になる企業は、確かに存在するでしょう。
ですが、今の世の中は仕事を選びすぎなければ正社員になること自体はそこまで難しくないと判断できます。
フリーター歴が長かったり面接時にやる気がなかったりすると、上手くいかないと感じることもあるかもしれませんが、上手くいかないと感じることがあるのはフリーター以外でも同じです。
正社員になりたい気持ちがあるなら、前向きに取り組んでいきましょう!